BSC21F32をレーザーコリメーターで光軸調整

 AT10RC(25cmF8RC鏡)に続いてBSC21F32(21cmF3.2ベーカーシュミットカメラ)をレーザーコリメーターで調整してみました。
BSC21F32は昨年末の撮影を最後に休止状態にあります。
このカメラの最終撮影の印象からは、35mm版四隅の星像が完全に同じでは無いので、この暇な時期に再調整できればと思って引っ張り出しました。
そのまま接眼部に同心円ホログラムを取り付けたレーザーコリメーターを差し込んでみます。

BSC21F32レーザーコリメータによる光軸調整-1_20180617
 同心円の広がりが足らないのか、全体に広がりが足りないようで、その上周辺の同心円である部分がボヤッと広がって円盤状になっています。
中央側のリングは明るいのですが、これでどうやって判断するのか?
そういえば"Starlight Instruments"には私が購入した"Holographic Attachment for Holographic Collimator"の他に"Barlow Laser Collimator Attachment"というのがありました。

BSC21F32レーザーコリメータによる光軸調整-5_20180617
 説明文の意味が良く理解できません。
余談ですがこのアタッチメントは$70です ・・・ あれっ、私が購入したアタッチメントも同じ$50だったのですが$70に値上がりしています。(間一髪でした)
兎に角よく解らんのですが、コリメーターにバローレンズを装着したら同心円が大きくなりそうですね。

BSC21F32レーザーコリメータによる光軸調整-2_20180617
 というわけで、古い長い2倍と最近のショート3倍、ショート5倍のバローレンズを試してみました。
確かに同心円は大きくなるのですが、3倍と5倍の方は光線が偏心を起こすようです。
バローを固定してコリメーターを回転させても同心円はも中央のリングも動かないのですが、コリメーターとバローを一緒に接眼スリーブに対して回転させると、中心のリングに対して周辺の同心円が右へ行ったり上へ行ったりと動き回ります。
唯一、古い長い2倍バローだけは大丈夫でした。

BSC21F32レーザーコリメータによる光軸調整-3_20180617
 2倍バローを取り付けて中央のリングと周辺の同心円(どうも円がぼやけて円盤状になっています)を同心になるように副鏡の傾きを調整しました。

BSC21F32レーザーコリメータによる光軸調整-4_20180617
 その後、ニュートン用レーザーコリメーターで接眼部のスケアリング調整を行います。
同心円ホログラムのコリメーターに換えると、また少し中央のリングと同心円がズレるので再び同心になるように副鏡を調整し、またスケアリング調整を繰り返しました。

 以上で室内調整は終了して、後はフィールドテストに任せます。
ところで、上記の調整には主鏡の傾きが含まれていません。
私の頭の中には、主鏡の傾きは補正板中心に十字糸を張って筒先から覗いて調整する以外に適当な方法がありません。
シュミットカメラでは主鏡光軸が補正板の非球面回転軸からずれると、写野全面一様なコマが発生します。
そのコマの長径が検出器の解像限界以下になるように主鏡の傾きを調整する必要があるのですが、十字糸調整で不十分な場合はフィールドで直接星像のコマを見ながら(焦点近傍の内外像比較)調整するしかないと思っています。

 以下はシュミットカメラやベーカーシュミットカメラをお使いでない方は読み飛ばしてください。
山下泰正著「反射望遠鏡」東京大学出版会の3.4.4「シュミットカメラの限界」のc)「補正板の偏心」では許容ズレ量を以下の式で示しています。

 L≦32・F^2・p/3

ここでL:許容ズレ(mm)、F:口径比、p:検出器の解像限界(mm)とします。
例えば、F=3.0、p=0.02mmのとき、口径には無関係に許容ズレはL≦2mmとなります。
これはFが暗いほど、そして解像限界が粗いほど許容ズレは大きくなることを示します。
逆にFが明るく解像限界が細かいほど許容ズレは小さく厳しいものになります。
私が使っているBSC21F32にこれを当てはめてみましょう。
例えばカメラをASI1600MMで考えるとそのピクセルピッチはp=0.0038mm、F=3.2ですからL≦0.415mmとなります。
うーん、厳しいですね ・・・ 実はそれだけではなく、BSC21F32のようなリンフットタイプのベーカーシュミットカメラでは、実効Fの1.5倍ほど非球面度の高いシュミット補正板を使うのです。
F3.2のベーカーシュミットカメラに使われる補正板でシュミットカメラを作るとF=2.1程になります。
つまり本当はL≦0.179mmになります。
2018/06/18訂正
この精度を十字糸による調整でクリアすることは到底無理ですから、やはりフィールドで星像に発生するコマを確認しながらの主鏡傾き調整作業が欠かせません。
勿論、大型のコリメーターや平面鏡によるオートコリメーションテストの環境をお持ちの方は室内で調整を完了できますが ・・・ 羨ましいですね。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

voyager_camera

Author:voyager_camera
小惑星観測屋崩れの「天体写真か!」です。もう新天体サーベイも位置測定もしませんので、鑑賞天体写真撮影に勤めています。訳あって天文雑誌などのフォトコンには応募しませんが、このブログ以外でも写真を見ていただける機会が増えるようボチボチやってます。(大島 良明)
mail:y-osima@sannet.ne.jp

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR