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2017GW 第一弾

 2017年のGWが始まりました。
ちょっとフライングですが、5/28,29と続けて星撮りに出かけました。

 両日とも八千穂高原へ連泊出撃の予定でしたが、4/28はどうも薄雲の影響を受けそうでしたので、ガリバーへのお誘いを受けて遠征先を急遽変更しました。
春の空なので富士山周辺は結構明るくモヤッとした感じです。
午前中に開通した富士山スカイラインを登って、富士宮口新五合目へ行った星友もいましたが、私はガリバーでお茶を濁しました。
ガリバーデビューと言われる野田ナンバーの方の隣に機材をセットして25cmRCで系外銀河狙いですが、なかなかの好シーイングでした。
先ずはFL2000mmに取り付けたASI1600MM-Coolで木星を鑑賞しましたが、モニター上でクロップ拡大すると結構縞がぐちゃぐちゃ見えてビックリ、まるで肉眼で見ているようでした。

20170428_ガリバーのGPD2-Total-RMS-Error
 これまでにPHDガイディングではRMSエラーのRA、Declトータルが1秒角を切ることは稀で、PHDを使い始めてからの私の経験では0.8秒角程度がミニマムでしたが、この晩は0.62秒角まで下がりました。
空に見えている明るい恒星もジッとして瞬かず、滅多に経験できない空でした。
結果はまだ未処理のため・・・お楽しみに。

20170428_ガリバー観測状況
 明るいといっても夏の天の川もしっかり見えていたので、幸先の良いGWスタートを切ることができました。

 GPVでは以降のお天気予報が良い方に変わって、八千穂高原は4/29~5/1の夜まで良さそうに変わりました。
ガリバーから直接八千穂高原へ移動して更に1晩の予定でしたが、八千穂で連泊も可能になったので、一度充電と新機材を取りに帰宅しました。
新機材というのは1週間前にB&Hに注文してあったRokinonSP14mmF2.4です。

RokinonSP14mmF24-1.jpg
 勿論SamyangXP14mmF2.4と同じレンズです。
米国アマゾン販売では$999でしたが、B&Hで$200saveで販売されていました。
思わず「やった!」とポチッたのですが、フェデックスの送料まで入れると国内での最安値(ポイント入れて)よりも¥1万まで安くはなりませんでした。(このレンズはもうこれ以上価格変動が無いものと考え手を打ちました)

RokinonSP14mmF24-2.jpg
 Rokinonブランドですが、レンズボディにもポーチにもシッカリSAMYANGと記入されています。
それにしても第一レンズだけがえげつないくらいデカイですね。

RokinonSP14mmF24-3.jpg
 今までのサムヤンのマニュアルレンズは手動の絞りリングが付いていましたが、これにはありません。
距離環だけでスッキリしています。
ただし、レンズ取り付け指標がマウント面だけに赤丸が付いていますが、外周部には何も無いので、ボディに取り付ける際の位相合わせが面倒です。
ご覧のように今までのレンズにはなかった電子接点がついています。
レンズ絞りはオートレンズと同じくボディ側の操作で行います。
これで撮影した際のエクシブデータにレンズの焦点距離や絞り値が書き込まれるようになりました。

RokinonSP14mmF24-4.jpg
 第一レンズは大きいのですが、全体にはEOS6Dにピッタリフィットで、今まで使っていたTamronSP15-30F2.8ズームと比べるとカワイイです。
 ということで、4/29は八千穂高原でTamronSP15mmF2.8とRokinonnSP14mmF2.4の比較テストを行ってみました。(両方ともSPで紛らわしい)
撮影はEOS6D-SEOSP4,ISO800,露出4分,自動ガイドです。

20170429_TamronSP15mmF28_Test.jpg
 先ずはTamronSP15mmF2.8(開放)です。
ただし、このタムロンレンズは後玉の後ろにLEE-No.2のソフトフィルターを入れていますので、その点は無条件での比較になっていません。
その辺は割り引いてご覧ください。

20170429_TamronSP15F28_TestImage.jpg
 そして、画面中の5か所を200X200切り出しを並べて200%拡大しています。
尚、下の両隅は星が無くなってしまったので400pixl上側へシフトした場所を切り出しています。
フォーカス調整では、四隅の星の流れが最も平均的になるよう注意しましたが、全く均等にはなっていません。
また四隅のコマを抑えるようにしたため、中心部の星像も多少甘い感じがします。(中心の最善位置で合わせると四隅が悪化する)
四隅の星像はサッジタルコマ、色収差などが目立ち、中央と比べると結構劣化が目立ちます。

20170429_RokinonSP14mmF24_Test.jpg
 これはRokinon SP14mmF2.4(開放)です。
タムロンよりも少し画角が広く、サソリの三ツ星からデネブまで納めてもタムロンよりも余裕があります。
ソフトフィルターが無いこともあって、星像が細かくなっていますね。

20170429_RokinonSP14F24_TestImage.jpg
 タムロンに比べて、四隅の星像劣化がかなり抑えられていますね。
調整していて感じたことですが、タムロンはフォーカスリングを回すと四隅の星像が放射方向に伸びたり縮んだりしますが、ロキノンはほぼ丸いまま大きさが変化します。
ですから、こちらのレンズは多少ピンボケでも星像は四隅まで丸くなります。
色収差も抑えられていて、とてもスッキリした星像を示しており、フラット処理前提で考えれば開放での使用で問題ないようです。
なお、メーカーはF2.4と書いているのですが、カメラ側ではF2.5と表示されますし、エクシブデータも開放でF2.5と記録されています。

 暫くするとシグマの14mmF1.8が発売になるでしょう。
MTFを見る限り、シグマのフルサイズコーナーでの星像はサムヤンに敵いそうにありませんでしたので、とっとと購入しましたが、まあこちらがサムヤン発表のMTF通りの結果でしたので正解だったのでしょう。
南天を撮りたくなりました。
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ベーカーシュミットカメラのアサーマル化-No.2(設計編)

 計画編では大体の方向を決めてスタートしたのですが、ここではもっと具体的な改造設計をします。
先ずは改造仕様(目標)を決めます。
勿論、観測時の外気温が変化してもデフォーカスの発生が無ければよいのですが、何事も完全というわけにはゆきません。
それであればどのくらいのデフォーカス量まで許すかという許容量を決めましょう。

BSC21F32_スポットダイアグラム-デフォーカスピッチ50μm
 これはBSC21F32のスポットダイアグラムです。
軸上から像高40mmまで、10mmピッチで5種類の星像シュミレーション結果が横に並んでいます。
イメージサークルφ80mmでの評価ですが、現在では35mm版以下で使用していますので、実際には左から3番目(中央)までを参考にします。(35mm版の四隅は像高22mmです)
また、上下の中央の列がデフォーカス量が0mmの星像で、上下のデフォーカス量を0.05mm(50μm)にしています。(上列が後ピン、下列が前ピン)
スケールは0.1mm(100μm)で描いており、上下の中央列(デフォーカス0mm)では7μm位の星像直径であることが解ります。
デフォーカス50μmとすると、F3.2光学系での星像直径は50μm/3.2=15.6μm程度です。
星像直径が2倍になると面積は4倍になりますので、限界等級で約1.5等下がります。
まあこのくらいは仕方ないかとも思うのですが、上のデフォーカス50μmの穴あき星像を見ているとちょっと許せない感じですね。
これではスパイダーの光状がハッキリ2本に分離して見えますね。

BSC21F32_スポットダイアグラム-デフォーカスピッチ30μm
 次がデフォーカス30μmです。
デフォーカスで星像直径10μmになりますが、このくらいなら許せそうですね。
この限界を少なくとも1晩は超えないことが必要条件になります。
ところで1晩でどのくらいの外気温変化を考えればよいかですが、私のこれまでの経験では5℃は十分にあり得ます。
10℃の変動は温暖前線の通過でもあれば起こりえますが、そんな時は星が見える状態ではありませんので、ここは10℃を充分条件とします。
結局、アサーマル性能仕様は「許容デフォーカス量は±3μm/℃以下」とします。

 次に鏡筒の伸縮をキャンセルする樹脂材料の長さについてです。
その前に、これまで温度補償機構が無いままで使っていた鏡筒による焦点の温度変動のシュミレーションです。

BSC21F32_オリジナル改造前
 裏紙に描いた汚い手書きの図面ですが、何卒ご容赦を。
これは各支持材料の光路寸法を黒字で描き、赤字は-10℃での変動した寸法を書き込んでいます。(各材料の線膨張係数は次の図面に書き込みましたのでそちらをご覧ください)
シュミレーションの手順は各材料毎の縮み量を計算して、その結果として主・副鏡面間を導きだします。
その次に光学設計ソフト(OPTAS)で主・副鏡の相似縮小した反射面Rと主・副鏡面間距離を修正してバックフォーカスを再計算した値を図面に書き込んでいます。
最後に図面の一番上の赤数字(副鏡支持点から焦点検出面Fの距離)と一番下の赤数字(副鏡支持点から焦点F'の距離)を比較してデフォーカスを求めています。
 図面右側焦点Fに対するF'は10℃低下すると+0.238mmという結果です。(前ピンになる)
変動量は23.8μm/℃ですね。
先ほどの仕様で許せるデフォーカスは30μmと言いましたので、外気温が1.3℃変化するともうアウトですね。
この結果は今までの経験そのものです。
確かに3℃も変わるともう完全ピンボケだったのですが、この鏡筒を製作してから20年間、私は一体何をやって来たのでしょうねえ・・・何もやってこなかった。orz

BSC21F32_アサーマル化改造1
 今度はキャンセル用樹脂スペーサーを挿入した場合のショミレーションです。
スペーサーの長さは計画編で書いた41mmです。
結果はキャンセル機構なしに比べて絶対量が半分以下になりました。
ただし、デフォーカス量の符号がマイナスに変わって、外気温が10℃下がると0.1044mmの後ピンになることが解ります。
 線膨張係数の下で材料名とその値を書いています。
PEは超高分子量ポリエチレン、Alはアルミ合金、Feは鉄、PXはパイレックスガラスです。
次はキャンセル用スペーサー長0mm→デフォーカス=+0.238mmとスペーサー長41mm→デフォーカス=-0.1044mmから比例計算でデフォーカスが0mmとなるスペーサー長を計算します。

BSC21F32_アサーマル化改造2
 計算したスペーサー長28.5mmに変更して再度シュミレーションしたのが上の図面です。
今度はデフォーカス=-0.0013mmとなりました。
つまり10℃低下で1.3μm後ピンになるということで、最初に決めた許容デフォーカス量±3μm/℃に対して±0.13μm/℃となって仕様をクリアしました。
キャンセル用の「樹脂スペーサー長は28.5mm」に決定です。

Assy-of-modified-BSC21F32.jpg
 これが修正版のAss'yです。
計画段階よりも白線で描かれた樹脂スペーサー長が短くなっていますね。
組図作成に続いて部品バラシ作業です。

BSC21mk2-18D_副鏡支持ブロック_R3
 コスモ工房さんに製作していただく副鏡支持ブロックの図面です。
見積もり段階から見直しが続き、もうRevisionがもう3になっています。orz

BSC21mk2-19D_樹脂スペーサ_R1
 同じくコスモ工房さんに製作していただく樹脂スペーサーの図面ですが、これも見積もりの時と長さが変わってRev.1になっています。
この素材(超高分子量ポリエチレン)棒を支給するために、手ノコで切ってみたのですが・・・こりゃ、切削加工がやり難そうです。
φ40mm丸棒をカットするだけなのに、粘くて滑るのでちっとも刃が入って行かずに一汗かきましたよ。

BSC21mk2-25D_スパイダー_R1
 これはコスモ工房さん以外板金加工屋さんに提出する図面です。
これまでのBSC21F32のスパイダーはt3のアルミ板を支持ブロックに溶接していました。
今回の改造ではスパイダーをもっと薄い別部品にし、光状をスッキリさせようと思っています。
羽根の厚みは1mmで材料はSUS304-CSP(ステンレス板バネ)にして副鏡支持ブロックにネジ止めします。

 これで設計を終了し、手配も完了しました。
GW後には塗装、組立、調整ができそうです・・・梅雨に入る前に検証観測ができるかも。

豪華客船「ドーン・プリンセス 」が清水港に初寄港

20170416_大型客船清水港入り
 何時ものように朝のウォーキングに出かけると、清水灯台で大型客船が港に入るのを見ました。
帰ってから調べると、タイトルのような地元新聞の記事が見つかりました。
「豪華客船」となっていますが、シドニー(豪)からやってきたようで、「China & Japan Cruise」らしいです。
豪からやってきて中華をめぐるツアーとは・・・これがほんとの「豪華」でしょう。 ^ ^;

◎ドーン・プリンセス号
総トン数77441t、全長261.31m、全幅32.25m、喫水8.10m、初就航1997年、船籍:バミューダ
乗客定員2250人、乗組員数900人、客室数975室 運航会社:プリンセス・クルーズ

横浜からこんな田舎の清水港に入港しても、あまりやることも無いらしく、午後には出港です。
次はアロタウ港 (パプアニューギニア)とのこと、少々霞んではいますが、富士山を堪能して行ってください。
それにしてもバミューダ船籍って・・・ツアー参加者は恐くないんでしょうか?

ベーカーシュミットカメラのアサーマル化-No.1(計画編)

21cmベーカーシュミット_AZEQ6GTピラー仕様20151205
 この鏡筒は20年前に自作したリンフットタイプの21cmベーカーシュミットカメラ(BSC21F32)です。
昨年から冷却カメラを使ってナローバンド撮影を始めるようになって、Fの明るいこのカメラを度々持ち出しました。
そこで困ったのが温度変化による焦点移動の問題です。
夜半前に十分外気温になじませても、その後3℃も変化するとピンボケ画像を作ります。
酷いときは、僅か30分位でベスト画像からピンボケへ移行します。
ナローバンドでは4時間くらいも撮影ソフトのオートランを使っているのですが、快晴だというのに途中で何度フォーカス調整のために撮影を中断することか・・・もう我慢できません。
ということで、20年も経ってこのベーカーシュミットカメラのアサーマル化(温度補償付加改造)を行うことにします。

 私がベーカーシュミット光学系を知ったのは1993年頃だったと記憶しています。
その頃は自宅から車で1時間くらいの山中に住んでおられる鏡面研磨者であり彗星・超新星捜索者である池谷薫さんの自宅横の鏡面研磨工場を時々訪ねていました。
ある時、私の小惑星観測の師匠である故浦田武さんと訪ねたときに、20cmF4ベーカーシュミットの光学系を拝見しました。
これは以前、浦田さんが池谷さんに位置観測用の良い光学系はないか相談されていたらしく、その結果として池谷さんが製作していたようでした。(浦田さんはそのことを忘れていたらしく、結局その光学系は受け取られなかったのでその後どこへ行ったのか、池谷さんに伺っていないまま時間が過ぎています)
その時期になぜベーカーシュミットの話になったかといいますと、それは高橋製作所から発売されたイプシロン光学系が発端になっています。
 浦田武さんが先駆けとなった日本のアマチュア天文家による小惑星観測は殆どがニュートン鏡筒による写真撮影で、一部でライトシュミットカメラによる写真捜索が始まったころでした。
そのような時期に現れたイプシロン光学系は星像が鋭いので小口径ながら驚くほど暗い小惑星を検出する能力を示しました。
ところが、あっという間に「イプシロンは天体写真には良いが位置観測に使えない」という評価が確定します。
その当時はまだデジタルのスターカタログがありませんでしたので、位置測定者は整約作業に使う恒星の位置データはSAOやAGK3という製本されたカタログを捲りながら、1個づつ拾いだしていたのです。
そしてやっとアマチュア観測家でも利用できるようになったPC(その当時のマイコン)の自作プログラムに手入力していました。
したがって、大変時間のかかる整約作業で1枚の測定乾板(フィルム)に使う比較星はせいぜい数個がやっとでした。
イプシロンの広写野画像でたった数個の比較星で整約作業を行うと、場所によっては数分角ものエラーが発生します。
それはイプシロン光学系の持つ大きな歪曲収差(ディストーション)が原因で、1次の乾板常数を使った整約ソフトでは手も足も出なかったのです。
その結果、イプシロン光学系で撮影された画像から拾い出した小惑星の位置観測報告は、精測位置(0.1秒角:サブアークセコンドの精度での報告)の要求を全く満足できないというのがその頃の現実でした。
その点ベーカーシュミットカメラは写野が広い上にイメージサークルの周辺でもディストーションが0.1%以下に抑えられるため、広い画面に数個の比較星しか取れなくても、そこそこの精度を保った観測報告ができる光学系だったわけです。

LFC21F32_収差図
 この収差図のDISTをご覧ください。
やっぱりベーカーシュミットは測定光学系とでもいえるアストロカメラなんです。

LFC21F32-67_AS.jpg
 これは製作時20年前のBSC21F32(67フィルムホルダー版)のCADデータです。

C1995-O1_Hale-Bopp.jpg
 1997年2月にBSC21F32-67版(エクタクロームE200)にて撮影したC/1995 O1(Hale-Bopp)です。

 この鏡筒にはもっと大きな弟(妹?)がいます。
やや遅れて製作した40cmF3.4鏡筒は、当時小惑星観測を行われていた和歌山の那智勝浦観測所(清水さん)に提供しています。(1996年春納入:ファースとライトは百武彗星C/1996 B2)
40cmベーカーはイメージサークルがφ125mmで、主にTP6415(4X5版)で写真撮影されていました。
BSC40F34鏡筒
 この40cm鏡筒は一昨年末に佐賀のミヤキ・アルゲンテウス観測所に移転して、今度は冷却CCDカメラ用に使われています。
BSC21F32の光学デザインは40cmよりFが少し明るいくらいで、スケールが違う程度ですが、LX200フォーク架台に載せて自動掃天を考えていたので、ただの丸筒ではなく八角形のセンターセクションを持ったスタイルになっています。

SINWA50cm.jpg
 これはBSC21F32のモデルになった月光天文台の神和光器製50cm反射(上)です。
雰囲気は似ているでしょ。

Usual-Baker-Schmidt-Center-Section.jpg
 いよいよ本題のアサーマル化計画の話です。
40cmベーカーは主鏡セルと補正板セルをアルミ鏡筒でつなぎ、中間に上の写真のようなスライド式副鏡支持部を挿入してあります。(これは別のカメラの写真ですが)
主鏡セルと副鏡支持部を線膨張係数の非常に小さなインバー(36%Ni)棒でつなぐことで温度補償機能を実現しています。
この機構によって那智勝浦観測所に入った40cmベーカーは、毎晩の小惑星観測において焦点調節が不要であったと評価していただきました。

LFC21F32-35_CenterAS.jpg
 これが現在のBSC21F32の主・副鏡付近を拡大したCAD図です。
副鏡はスパイダーで保持されたブラケットの先端のセルに収まっています。

LFC21F32-35mk2_CenterAS.jpg
 今回の改造では、副鏡のブラケットを筒先方向に伸ばし、副鏡との間に線膨張係数の大きな樹脂材料で製作したスペーサーを挿入します。(CAD図で白く描かれている部分:φ40mmX41Lの円柱です)
勿論、ブラケットとスパイダーも新規製作になります。
 今回の温度補償機構は前述のように、線膨張係数がゼロに近い材料で主・副鏡間を支持するわけではありません。
既にある鏡筒部(センターセクション、主鏡セル、接眼筒、カメラ)は全てアルミ合金製です。
つまり、焦点面から副鏡支持部先端までは全てアルミ合金の線膨張係数(平均23.5X10-6/℃)に従って伸縮します。
それを副鏡ブラケットと副鏡セルの間に線膨張係数の大きなスペーサーを入れて焦点面と副鏡面間距離の伸縮をキャンセルする計画です。
キャンセル材料は超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)です。
この材料は他のエンジニアリングプラスチックほど機械強度はありませんが、ちょっとした木材よりも強いです。
それとナイロンなどと違って吸水率がほとんどゼロですから、湿度によっての伸縮の心配がありませんし、比重が0.94と軽いのもありがたいですね。
また摩擦係数がテフロン樹脂並みで耐摩耗性がエンプラ中最高であるため、最近色々のところで使われていて、価格が安いのも選定基準になりました。
丸棒材料メーカーは何社か存在しますが、中で最も線膨張係数が大きいクオドラントポリペンコのTIVAR1000を選びモノタロウで購入しました。(φ40X1000L)
この材料の線膨張係数は20.0X10-5/℃です。
表記した単位が違っていますが大体アルミ合金の8.5倍もの値です。
これまでの焦点面と副鏡支持間距離が350mmですからその1/8.5である長さ41mmの樹脂スペーサーを入れてやればアサーマル鏡筒に改造できます。
 このアサーマル(athermal)という言葉は光学設計でも良くつかわれます。
レンズの場合は硝子材料毎の温度による屈折率の変化が違いますので、温度補償が絶対条件での設計では各収差補正にアサーマル条件も加えます。
どうしても硝子材だけで温度補償が完成しない場合は鏡筒部も含めて検討します。
偏芯光学系であるニュートン系のアストロカメラはこのようなキャンセル方式によるアサーマル化は難しいのですが、共軸光学系では可能です。
特にレンズ系では前述のように面倒な部分もありますが、ベーカーシュミットカメラでは温度による変化というのは相似形での変化が基本なので比較的簡単です。
シュミット補正板は距離や傾きに対して非常に鈍感なので、実質は2枚鏡系と考えてよいのです・・・CPが主鏡から随分遠くに配置されていて筒が長いのはその証拠です。(主鏡の光軸がCP回転対称軸に乗っているかどうかにはメチャ敏感ですが)
最近は電動フォーカサーというのも見られますが、アサーマル化すればそれも不要になります。
まだ計画が走りかけたばかりですが、この秋からのナローバンド撮影では「車内で爆睡」を目標にガンバルぞっ!

彗星三体

野辺山で4/2の夜から翌朝にかけて撮影した彗星です。

41P_20170402.jpg
41P(Tuttle-Giacobini-Kresak)
2017年04月02日22時36分~23時09分(JST)
露出1分X30コマ彗星核にて合成
キャノンEOS6D(SEO-SP4,ISO3200)
BORG77EDII_F4.3DG(D77mmFL330mm)
VixenGPD+SS2000PCにてP-PEC自動運転
 結構コマが大きく広がっていますが、尾はちょっと寂しい感じです。
近日点距離は1.05386AU、近地点距離は0.14218AUと近いのでモーションが大きい。

C2015V2_20170402.jpg
C/2015 V2(Johnson)
2017年04月02日23時24分~23時55分(JST)
露出1分X29コマ彗星核にて合成
他のデータは同上
 こちらは見かけが小さいですが近日点距離が1.88638AUで近地点距離が1.31752AUですから見た目以上に大物です。
MPECのエレメントでは絶対等級が5等です。

C2017E4_20170402.jpg
C/2017 E4(Lovejoy)
2017年04月03日03時39分~04時00分(JST)
露出1分X16コマ彗星核にて合成
他のデータは同上
 こちらはご存知、オーストラリアのテリー・ラブジョイさんの発見した彗星です。
撮影時の私の予報は以下です。
R.A. 2000: 21h 56m 46.3s / Decl.2000: +14゚ 32' 42" / Delta : 0.61743AU / r : 0.69225AU / Elong. : 43.1゚ / Phase : 99.4゚
Mag. V : +7.4 / Motion : 216.0'/day / Motion PA : 44.5゚ / Tail : 1.7゚ (Assumed 0.0185AU) / Tail PA : 278.2゚
発見当時は12等級位(一部国内での報告が飛び抜けて明るかったけれど)と暗かったのですが、ここへきて急増光しました。
流石に肉眼では確認できませんでしたが、10X42双眼鏡ではしっかり見えていました。
他の彗星と違って、細い尾がキューっと伸びて・・・期待して、コマを思いっきり画面の東に動かしたのですが、画面の中央辺りで消えてしまっているようです。
予報通り尾長は2°弱というところでしょうか。(ちなみに予報の尾長はバージンコメット用に味付けしています)
海外(南アフリカ)の7時間後の画像を見ると、尾が2~3本に分かれたようです。
頭部のコマがが逆三角形のように広がっていたので、スワッ崩壊か? と騒がれたのですが、まだ大丈夫なようです。
しかし、先ほどの海外情報(YahooGroups Comets Mailing List)ではC/2015 ER61 (PANSTARRS)がアウトバーストしたとか。
やっぱり、太陽活動と彗星光度の関係は否定できないような気がしますが・・・
 ラブジョイ彗星は次第に日本から観測しにくくなるし、ここ暫くはお天気が悪そうですからバーストしても見れないかな。
そういえば東京はもう桜が満開を迎えようとしているらしいですが、ここ清水のソメイヨシノはやっと1分咲きです。
例年は東京に負けてはいない桜なんですが、今年は完全に負けてます。orz
最近は本当にお天気悪すぎですね!

太陽が活動を始めた?

 ラブジョイ彗星が急増光したのは太陽活動が活発化したからでしょうか?
本当に長い間無黒点状態が頻発していましたが、久々に大型の黒点群が見られるようになりました。
それで野辺山から帰ってすぐに太陽撮影をしてみました。

20170403_Sun-Ha_130709.jpg
2645群
2017年4月3日13時07分JST
SE120L+DayStarERF(YG530)+DayStar QUARK Haフィルター+ASI174MM
Limit=30 Seconds / Frames captured=1472 / FPS (avg.)=48 / Shutter=1.500ms / Gain=320 (80%) / Gamma=50

20170403_Sun-Ha_131250.jpg
2644群
2017年4月3日13時13分JST
他データ:同上

 これからはもう少し活動が活発になってくれると楽しいですね。

野辺山遠征

 ラブジョイ彗星(C/2017 E4)が急増光したということで、4/2は今年初めての野辺山遠征をおこないました。
明るくなったいっても肉眼等級にはほど遠いので、標高の高い観測地で透明度を稼ぎたかったので、結構寒いだろうということは覚悟したうえで出発しました。(勿論、月曜日はお休みにして)
GPVの予想では夕方から雪の可能性もあったのですが、雲は出ましたが降雪はありませんでした。
18時頃は快晴で風も無く「やった!」と思ったのですが、時間とともに八ヶ岳方面から雲が湧いてきて撮影は雲間からという状況でした。
 それでも何とか41P(Tuttle-Giacobini-Kresak)、C/2015 V2(Johnson)、C/2017 E4(Lovejoy)を撮影することができました。
彗星の報告は後日にします。
野辺山の農道で撮影したので、周辺の牧草地はまだ積雪で真っ白な平原が広がっています。
朝方は雪原に上る夏の天の川を撮ってみました。

20170402_野辺山-1
雪原に上る夏の天の川
EOS6D-SEOSP4+TAMRON SP15-30mmF2.8(15mm/開放)+LEE No2フィルター/ISO6400/30秒固定

20170402_野辺山-2
観測風景(八ヶ岳が雲に隠れています)
データ:同上

20170402_野辺山-3
薄明の始まった野辺山の空
EOS6D-SEOSP4+EF8-15mmF4(8mm/開放)/ISO6400/30秒固定

 イヤーッ、それにしても寒かったです。
もう4月になって、国道52号線沿いでは桜も咲き始めていたのですが、日が沈むと直ぐに-4℃くらいまで下がり20時には-8℃くらいになっていました。

20170402_野辺山-7
 夜明けは-12℃近くまで下がっていました。

20170402_野辺山-6
 彗星を撮っていた機材も霜で白くなりました。

20170402_野辺山-5
 ガイド鏡を小型に換えたのでそのテストも兼ねましたが、25cmF8鏡筒を6cmF6鏡筒で何とか追跡できそうであることが解りました。
これでガイド鏡が3kg→1kgに減量できました。
ガイド鏡のフードはヒーターもなしでご覧のような筒を差しているだけですが、これでも一晩曇らずに仕事ができました。

20170402_野辺山-4
 機材の撤収は陽が差してからボチボチと回収です。(待ち時間にカップラーメンで朝食です)
慌てるとケーブルが折れる・・・陽が差すとすぐに暖かくなってきて、雪に囲まれた朝のひんやりとした空気の中ですが、遅い春を感じます。
現在住んでいる清水では雪を見ないので、雪国生まれの身としましては懐かしい気持ちになるんですよ、ハイ。
プロフィール

voyager_camera

Author:voyager_camera
小惑星観測屋崩れの三流天体写真家です。もう新天体サーベイも位置測定もしませんので、鑑賞天体写真撮影に努めています。天文雑誌などのフォトコンには怖くて応募しませんが、このブログ以外でも写真を見ていただける機会が増えるようボチボチやってます。(大島 良明)
mail:y-osima@r.sannet.ne.jp

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